実質利回りの作り方 | アパート/戸建て/テナント区分まで

実質利回りの作り方 | アパート/戸建て/テナント区分まで"手残り"で比較する計算ステップ

不動産収益関連

実質利回りの作り方|アパート/戸建て/テナント/区分まで“手残り”で比較する計算ステップ
KAGOSHIMA INVEST GUIDE

実質利回りの作り方|アパート/戸建て/テナント/区分まで“手残り”で比較する計算ステップ

物件タイプ別に“表面→実質”へ。空室・募集費・原状回復・PM/BM・共用部費用・税まで入れて設計します。

計算フロー(結論)

表面利回り = 年間満室家賃 ÷ 価格
実効総収入(EGI)= 年間満室家賃 ×(1 − 空室率)
営業純利益(NOI)= EGI −(変動費+固定費)
実質利回り(粗) = NOI ÷ 価格
Cash-on-Cash(税前)=(NOI − 年間返済)÷ 自己資金

“価格”は購入諸費用込み(登記・仲介・ローン関連等)で見るのが安全。

数字の置き方|タイプ別パラメータ

タイプ空室率レンジ募集費(AD)原状回復管理費用その他の着眼点
アパート(単身) 5〜12% 0.5〜1.0か月/入替を年割 6〜12万円/入替を年割 PM 3〜5%(EGI連動) 共用電灯・清掃・貯水槽・雑排水清掃の年割
アパート(ファミリー) 3〜8% 0.5〜1.0か月(入替少なめ) 12〜25万円/入替を年割 PM 3〜5% 駐車場収入・除草/外構・自治会費
戸建て賃貸 2〜6% 0.5〜1.0か月 退去時厚め(壁床水回り)を年割 PM 3〜5% or 自主管理0% 外壁/屋根/給湯器等の更新年表を年割
テナント(店舗・事務所) 5〜15% 0〜1.0か月(成約条件次第) スケルトン/原状回復条項を契約通り年割 PM 3〜5% + BM 実費(共用部) 共益費収支/空調更新/看板・消防点検の年額
区分(参考) 5〜12% 0.5〜1.0か月 6〜12万円/入替 PM 3〜5% 管理費・修繕積立金(固定費)を年額で
年割の考え方:入替ごとの費用(広告・原状回復・鍵交換など)は、平均的な発生間隔で年額に均すと比較しやすいです。

サンプル計算(住宅系/テナント系)

住宅系モデル(アパート1戸イメージ)

前提:家賃58,000円、満室家賃=696,000円/年。空室率8%、PM 5%(EGIに対して)、広告料0.7か月/2年、原状回復12万円/2年、保険12,000円/年、固定資産税50,000円/年、共用費(電灯・清掃・貯水槽等)年額24,000円。

  1. EGI:696,000×(1−0.08)=640,320円
  2. PM:EGI×5%=32,016円
  3. 広告年割:58,000×0.7/2=20,300円
  4. 原状回復年割:120,000/2=60,000円
  5. 固定費:保険12,000+固定資産税50,000+共用費24,000=86,000円
  6. NOI:640,320 −(32,016+20,300+60,000+86,000)=442,004円
  7. 価格1,000万円の実質利回り:442,004 ÷ 10,000,000 = 4.42%

テナント系モデル(小規模区画イメージ)

前提:賃料120,000円/月、満室家賃=1,440,000円/年。空室率10%、PM 3%、BM(共用部清掃・設備点検等)年額120,000円、保険24,000円/年、固定資産税120,000円/年。広告料0.5か月/成約(2年毎想定)。原状回復は契約上テナント負担=0円計上。

  1. EGI:1,440,000×(1−0.10)=1,296,000円
  2. PM:EGI×3%=38,880円
  3. 広告年割:120,000×0.5/2=30,000円
  4. 固定費:BM120,000+保険24,000+固定資産税120,000=264,000円
  5. NOI:1,296,000 −(38,880+30,000+264,000)=963,120円
  6. 価格2,400万円の実質利回り:963,120 ÷ 24,000,000 = 4.01%
注意:テナントは共益費の回収構造で実質が大きく変わります(オーナー負担かテナント負担か)。契約条件を式に必ず落としてください。

感度分析|空室率・募集費でどれだけブレる?

住宅系モデルの前提で、空室率のみを変化。

空室率EGIPM(5%)その他固定/年割NOI価格1,000万円の実質利回り
5% 661,200円 33,060円 (広告20,300+原状60,000+保険12,000+固定税50,000+共用24,000)=166,300円 661,200 − 33,060 − 166,300 = 461,840円 4.62%
8% 640,320円 32,016円 同上 166,300円 640,320 − 32,016 − 166,300 = 442,004円 4.42%
12% 612,480円 30,624円 同上 166,300円 612,480 − 30,624 − 166,300 = 415,556円 4.16%

空室率が5%→12%へ悪化すると、実質は約0.46pt低下。

キャッシュ・オン・キャッシュ(融資時)

年間返済(ADS)と自己資金(頭金+購入諸費用)を使って、

Cash-on-Cash(税前)=(NOI − ADS)÷ Equity
  • 返済は元利均等の年額(金利・期間・借入額)。
  • 利息は損金、元金は資産振替(損金でない)。
  • 税引き後は、減価償却・損益通算で変動。

チェックリストと落とし穴

  • 広告・原状回復・鍵交換など入替費用は年割で。
  • PMはEGI連動BM・共用費は年額固定で置く。
  • 固定資産税は取得翌年以降の評価で変動。
  • テナントは共益費の収支(回収できるか)を式に反映。
  • 価格は購入諸費用込みで利回り算出。

よくある質問

“表面7%”なら買い?

表面だけでは判断不可。固定費・年割費用を差し引いた実質(NOI/価格)で基準を決め、金利・修繕・共用費の見込みで調整して判断します。

タイプごとの最低基準は?

運用スタンス次第ですが、住宅系は空室・入替費の安定感テナント系は共益費収支と長期賃貸の継続性を重視して閾値を設定します。感度分析を2〜3本用意するとブレに強いです。

まとめ

実質利回りは「EGI→年割費用→NOI→価格」の順で組み立て、空室率と募集費のレンジで感度を確認。タイプごとのコスト構造(PM/BM/共用部)を正しく式に入れると、物件横断の比較がクリアになります。

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